2019.12.18

開成高等学校・スポーツ・リーダーズ・キャンプ

今回のニュースは、助教の髙橋由衣が担当いたします。
2019年12月17日(火)・18日(水)の2日間にわたって「開成高等学校・スポーツ・リーダーズ・キャンプ」を本学で開催しましたので、その内容についてご報告させていただきます。
スポーツ・リーダーズ・キャンプは、開成高等学校の保健体育教諭より、人間的な成長を促すことを目的にスポーツ・リーダーとしての理論と実践を学ぶ機会を与えて欲しいという依頼のもと、本学スポーツ心理学研究室が協力して開催することになりました。我々にとっても新たな試みであり、世界レベルの優秀な競技者・指導者の育成を追求している本学の先生方の協力を得て、2日間のプログラムを計画して実行することができました。以下にそれぞれの講義内容についてご報告いたします。

17日(火)は、①理事長講話、②トレーニング、③自己分析・コミュニケーション、④人間力・リーダーシップの4つのセッションを実施いたしました。
それぞれの講師は以下のとおりになります。
① 日本体育大学理事長 松浪健四郎
② 日本体育大学准教授 岡田 隆
③ 日本体育大学大学院博士後期課程 相川 聖
④ 日本体育大学助教 古城隆利

1つ目の松浪理事長の講話では、「周囲の人間によって動かされるのではなく、物事の2面性を考え、自分を貫くことの大切さ」や「自分が善と思った行動が、他の人にとっては悪の行動になってしまう」ことなど、松浪理事長の多様な経験をもとにしたお話はとても興味深いものでした。生徒のみなさんは、夢中になって話を聞いており、松浪理事長の信念や考え、体験してきたことに圧倒されている様子でした。

2つ目の岡田先生のトレーニングでは、筋肉に対する熱意と愛情を熱く語られました。岡田先生には筋量の増やし方や身体づくりの仕方について、ご自身がサポートされている柔道日本代表を例に説明していただきました。「自分が強烈でなければならない、何を言うか、それを誰が言うか」というお言葉どおり、世界で活躍している一流選手を相手に指導している岡田先生のお話はとても説得力のある内容でした。また、日本一に輝いたことのあるバーベルクラブの学生にベンチプレス100kgを持ち上げてもらい、トップアスリートの力を間近でみせていただきました。さらに、ベンチプレスの正しいやり方も教えていただき、生徒のみなさんにとってはとても貴重な経験となったと思います。トレーニングをする上では、常に1%の進歩のために努力すること、規則正しい生活や食生活の管理が重要であることを学ぶことができました。

昼食は、食堂にてMEGAからあげ丼とMEGA生姜焼き丼を食べました!どちらもご飯の量が600gあるのですが、食べ盛りの高校生にとっては余裕の量だったようです。生徒のみなさんがおいしそうに食べていてとても良かったです。

3つ目の相川さんの自己分析・コミュニケーションでは、個人ワークおよびグループワークを通して、自己認識と他者認識の違いについて理解することや、コミュニケーションを図ることを目的に自立可能なタワーを作る「マシュマロチャレンジ」など、アクティビティな内容が展開されました。自己分析では、自己認識と他者認識の違いに驚いている生徒が多く、新たな自分を発見する機会になったのではないかと思います。今まで知ることのなかった相手からの評価や意見を大切に、さらに自分自身の成長に活かして欲しいと願います。次に「マシュマロチャレンジ」は、20本のパスタとセロハンテープ、はさみ、ひも、マシュマロを用いて3~4人一組のグループで取り組みました。私は、タワーの作成過程についてとても興味があり見回っていると、ほとんどのグループが紙に図面を書いて話し合いながら作業を進めている姿がとても印象的でした。彼らはグループの人とコミュニケーションを図り、それぞれの役割をしっかりと果たしながらタワーを作成しており、とても感心しました。普段のみなさんの活動においてもお互いの意見を尊重し合って、組織を作り上げていって欲しいと思います。

4つ目の古城先生の人間力・リーダーシップでは、よい組織づくりに向けた人間力の育成について、リーダーとしての取り組み方や組織構造を本学硬式野球部の事例をもとにお話いただきました。勝つチームを作るためには、上級生が見本となること、学年関係なくチームのために動くこと、日常生活を規則正しく行うことなど、実際に日本一に輝いた本学硬式野球部の学生が行っていることを学ぶことができ、その内容は実践で活かせることでした。部活動や委員会活動等でリーダーを担っている生徒のみなさんにとっては、“よい組織づくり”を再認識するきっかけになったと思います。

8日(水)は、①リーダー像・チームビルディング・集団規範、②コーチング(理論・実践)、③学長講話の3つのセッションを実施いたしました。
それぞれの講師は以下のとおりになります。
① 日本体育大学准教授 高井秀明
② 日本体育大学教授 伊藤雅充
③ 日本体育大学学長 具志堅幸司

1つ目の高井先生のリーダー像・チームビルディング・集団規範では、リーダーの特性や理想のリーダー像について考えさせられる内容でした。グループディスカッションでは、理想のリーダー像について様々な意見交換が行われており、集団の中でどのような役割を担うべきかを考えている姿が印象的でした。自分は何が得意で、何をやり遂げるのか、誰かと補う部分はあるのかなど明確に整理をすることができたのではないかと感じています。「目の前の相手を大切にする」リーダーとなり、先にはこれからの社会に還元していって欲しいと思います。

2つ目の伊藤先生のコーチング(理論・実践)では、自ら選手に考えさせるような指導や失敗を恐れないチャレンジを促す環境づくりの重要性などについてお話をしていただきました。「頑張れない原因は、頑張れなくしている指導者の方に原因がある」といったお話があり、とても興味深い内容でした。コーチは一方的な指導をするのではなく、選手とコミュニケーションをうまく取りながら多角的に考えさせることが大切であり、有意義な内容であったと思います。指導をする側、組織を運営する側は、相手への質問の仕方、答えさせ方を工夫する必要があり、相手ではなく自分自身の考えや言葉をコントロールすることが重要であることを痛感させられました。その中でも、GROWモデル(Goal:何をやろうとしていたのか?・ Reality:実際どうなったか?どんな感じか?・Option:もっとうまくやる方法はあるか?・Will:次は何を意識してやってみようか?)は実践的で活用できる内容であり、目標を達成する場面において相手のやる気を引き出すことのできるものだと感じました。

3つ目の具志堅学長の講話では、オリンピックで金メダルを獲得したことや怪我の実体験などについて熱く語られました。練習をやるだけではなく、考えることも重要であり、「成し遂げたい目標を文字に起こし、声に発して意識させ、努力を続ける」ことの大切さを学ぶことができました。生徒のみなさんにとって、金メダリストからの講話はとても貴重な経験となったと思います。自分の心を声に出し、諦めずに努力し続ける強靭な精神力は目標達成には欠かせず、忍耐強く頑張っていくことの大切さを感じられました。

この2日間、開成高等学校の生徒のみなさんの学ぶ意欲や発想力には驚かされました。グループワークで意見交換している内容や、お互いを認め合って高め合っている姿がとても印象に残っています。今回のリーダーズ・キャンプが何かを成し遂げるためのきっかけになれば幸いです。また、みなさんには今回学んだことを学校生活の中で活かしてもらうと共に、様々な場面で発信していけるような存在になって欲しいと願っております。

髙橋由衣

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