2025.10.06

日本スポーツ心理学会第52回大会での研究発表

大学院博士前期課程1年の坂口彩夏です。

9月26日(金)から9月28日(日)まで、同志社大学京田辺キャンパス(京都)にて開催された日本スポーツ心理学会第52回大会(https://taikai52.jssp.jp/)に参加しましたのでご報告いたします。

今回の学会大会には、スポーツ心理学研究室に関係する教職員、一般研究員、大学院生が参加いたしました。

9月26日(金)

初日は、スポーツメンタルトレーニング指導士全国研修会と自主シンポジウムが行われました。セッション1ではSMTの倫理について、セッション2では多重関係のワークショップ、セッション3では事例検討、セッション4ではチームサポートの事例検討方法に関するワークショップが行われました。セッション2ではグループワークを通して、様々な大学の先生や大学院生と交流し、多様な考え方や意見を交換する貴重な機会となりました。SMT指導士としての価値を高めるためには、倫理的なルールを遵守し、正解がなくても考え続ける姿勢が重要であると感じました。大学院での生活は研究活動が中心ですが、このような機会を通じて、実践活動についてもより深く学んでいきたいと思いました。

9月27日(土)

2日目は大会企画講演、ポスター発表、学会企画シンポジウムが行われました。

大会企画講演は『スポーツで活かすヒューマン・モティベーション研究―自律性の支援に向けてー』というテーマで行われました。

まずは、モティベーションが出ない、長続きしない、他者のモティベーションをどのようにすれば上げられるか、この3つの課題が挙げられていました。そもそもなぜモティベーションが出ないのかを理解すること、他人と比べないこと、運動を行って前頭葉を活性化させること、コンピテンス(手応え)の欲求・関係性の欲求・自律性の欲求が揃うことで内発的モティベーションが高まること、環境を整えること、相手を否定しないことや褒める時に評価をしないことなどがありました。指導者として、選手の日々のモティベーションを上げるための勉強となり、とても興味深く拝聴いたしました。

以下、研究発表の題目となります。(★は研究代表者です。)

★相川聖・高井秀明・平山浩輔
「アスリートにおける制御焦点と熱望・警戒イメージの制御適合」

★柴田大地・高井秀明
「高校柔道指導者における指導の考え方を獲得するプロセス
ー指導経験による人間形成を目的とした指導に着目してー」

★園部豊・平山浩輔
「大学合気道授業における楽しさと健康生活スキルの関連」

★坂部崇政
「刺激の色操作がフランカー課題のパフォーマンスに与える影響
―サッカーのキッカー画像を用いた検討―」

★折茂紗英・高井秀明
「Minecraft課題の実施に伴う協調行動とパーソナリティとの関連」

★藤本太陽
「スポーツチームにおけるチームワークと集団凝集性および集合的効力感との関連」

★高橋由衣・高井秀明
「防衛的悲観主義を利用するアスリートのパフォーマンス発揮のメカニズムに関する予備的検討」

★大久保瞳・高井秀明
「タイムプレッシャーの強度が精神的負担に及ぼす影響
―タスクスイッチング課題による検討―」

★大石達也・高井秀明
「高校野球選手における競技生活に伴う強いストレス体験に関する特徴」

★佃透唯・高井秀明
「大学生アスリートの完全主義の認知と他者からのコンパッションの恐れ,メンタルヘルスとの関連」

★本郷由貴・高井秀明
「自己批判はアスリートの足かせか、それとも推進力か?
―メンタルヘルスと主観的パフォーマンスに着目してー」

★高井秀明・北橋達朗
「プロサッカー選手のリーグ戦に伴う気分の変化」

学会企画シンポジウムでは、『科学と実践現場のモヤモヤ:結果が出せるスポーツ心理学』をテーマに3人の先生方からお話がありました。パフォーマンスの向上、目標決定は選手に任せ、指導者はそれまでのプロセスを手助けしていくこと、選手の伝えたいことを読み取る力、モヤモヤを伝えられる環境を作ることなど、現場と研究のギャップ(モヤモヤ)を少しでも埋めていくためにこの学会があるとのことでした。

夜には、OB・OGの皆様ととても楽しい時間を過ごすことができました。これまでの研究室の歩みやそれぞれの現場での話を語り合うことで、より一層研究室の一員として頑張っていきたいと感じました。

9月28日(日)

3日目は口頭発表とラウンド・テーブル・ディスカッションが行われました。

以下、研究発表の題目となります。(★は研究代表者です。)

★松原旭飛・高井秀明
「コーチのセキュアベース・リーダーシップとアスリートのフォロワーシップが
チームパフォーマンスの認知を予測する統合モデルの提案」

ラウンド・テーブル・ディスカッションでは、「スポーツにおける暴力問題を問い直すー心理学研究・実践のこれまでとこれからー」に参加しました。暴力問題に対して近年の研究でわかっていること、被体罰経験者の認識と体罰を容認する心理的葛藤、暴力を通報すること、3つの内容を3人の先生方からお話ししていただきました。昔ならではの体罰や暴力ではなく、知識のアップデートを行うことで言葉の暴力を含め、スポーツハラスメントを失くすことを様々な視点から学ぶことができました。

学会大会3日間を通して、様々な視点から学びを得ることができ、今後の研究により一層励みたいと感じました。また、歴史あるスポーツ心理学研究室の一員として、研究活動や実践活動に精進していきたいと思います。

大学院博士前期課程1年 坂口彩夏

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