大学院博士前期課程2年の人羅美帆です。
9月27日(金)から9月29日(日)まで、広島大学東千田キャンパスにて開催された日本スポーツ心理学会第51回大会に参加しましたので報告いたします。
今回の学会大会には、スポーツ心理学研究室に関係する教職員7名、一般研究員5名、大学院生9名が参加いたしました。
9月27日(金)
初日は、スポーツメンタルトレーニング指導士全国研修会と自主シンポジウムが行われました。
午前中は「SMT指導士と精神科医の連携と協働を考える」をテーマに講演が行われました。午後からは、スポーツメンタルトレーニング指導士の資格取得者と未取得者に分かれ、2つのセッションが行われました。
資格未取得者のセッションでは、「事例を通した自己研鑽について考える-スーパーヴァイズ・事例検討の体験から-」について平木貴子先生(日本大学)が、「架空事例に学ぶ、見立てと進め方-見ているもの・見えていないものに気づく-」について奥野真由先生(久留米大学)がそれぞれ話題提供をしてくださいました。
資格取得を目指すスポーツメンタルトレーニングの初学者である私にとって、自己研鑽を続けることやその方法、実際にサポート活動をしていくうえで留意すべき点などを学べる時間となりました。
本研修会の終了後からは、学会大会のプログラムが開始されました。最初のプログラムである自主シンポジウム「若手・新参スポーツ心理学者のネットワークを拡充させる」では、本学職員である大久保瞳先生が話題を提供されました。
自主シンポジウム終了後は、研究室に関係する先生方や大学院生とともに親睦会を開催しました。先輩方の貴重なお話や研究内容等を知ることができ、とても楽しい時間を過ごすことができました。
9月28日(土)
2日目は午前中にポスター発表、午後からはシンポジウムと大会企画公演、総会、学会賞授与式ならびに受賞講演が行われました。
学会企画シンポジウムは、「スポーツはアスリートや社会を幸福にするのか?-東京2020オリパラ後に起きたスポーツ問題を問う-」というテーマで行われました。
九州大学の内田若希先生が指定討論者となり、メンタルヘルスをテーマに3名の話題提供者の先生方から話をしていただいた後、指定討論者である内田先生からコメントがありました。
大会企画講演は「人類の進化学とスポーツの心理」というテーマで行われました。
総合研究大学院大学名誉教授の長谷川眞理子先生より、人類進化学の視点からスポーツ心理学について話をしていただきました。進化学という新たな視点からスポーツの心理を考えるとても良い機会となりました。
学会賞授与式ならびに受賞講演では、本学一般研究員の堀彩夏さんが筆頭著者として執筆した「大学生アスリートにおける身体意識が反芻および省察に与える影響」がスポーツ心理学会学会賞である優秀論文奨励賞を受け、表彰されました。
左:高井秀明(共著者) 右:堀彩夏(筆頭著者)
以下、研究発表の題目となります。(★は研究代表者です。)
★坂部崇政・高井秀明
「空手における注意の誘導が技の判断精度に与える影響-フェイントプレーを想定した先行手がかり課題による検討-」
★北橋達朗・高井秀明
「プレッシャートレーニングとして実施するサッカーのPKが心理的レジリエンスと不安に及ぼす影響」
★松原旭飛・高井秀明
「Psychological Safety Scale for Competitive Sports in Student-Athleteの開発」
★大久保瞳・高井秀明
「タイムプレッシャーがフランカー課題の遂行に及ぼす影響-心理面・生理面・行動面からの検討-」
★高井秀明・北橋達朗・内川義弘・松原旭飛
「アーチェリー競技のスイッチング能力とパフォーマンスとの関連」
★人羅美帆・高井秀明
「VR環境下での女子ラグビー選手におけるプレー中の視覚探索方略-オフザボール時に着目して-」
★山本築・高井秀明
「大学生アスリートの宗教的信念に関する予備的検討」
★髙橋由衣・高井秀明
「防衛的悲観主義者の熟考を促進させる要因の検討-気質と認知的柔軟性に着目して-」
★堀彩夏・高井秀明・齋藤雅英
「大学生アスリートと一般大学生の身体意識と反芻および省察との関連」
★折茂紗英・高井秀明
「Minecraft課題を用いたチーム行動の経時的変化-同一集団に所属する大学生アスリートを対象に-」
★佃透唯・高井秀明
「大学生アスリートの思考制御能力による違いが完全主義と能動的注意制御機能に及ぼす影響」
★相川聖・高井秀明・平山浩輔
「アスリートの熱望・警戒イメージに関する予備的検討」
夜には、名誉教授の楠本先生をお迎えし、とても楽しい時間を過ごすことができました。これまでの研究室の歩みを知ることができ、私もこの研究室の一員としてより一層頑張っていきたいと感じました。
9月29日(日)
3日目は口頭発表とラウンドテーブル・ディスカッションが行われました。
ラウンドテーブル・ディスカッションでは「運動学習研究における「注意」とメンタルトレーニング研究における「集中力」の接点を探る」に参加しました。
この内容は、私自身の研究分野と重なる部分が多く、同じ分野で研究をされている先生方とのディスカッションを通じて新たな発見が得られたり、関連する研究に対して興味関心が高まったりしました。
以下、研究発表の題目となります。(★は研究代表者です。)
★松井花織・高井秀明
「大学生アスリートにおけるメンタルヘルスと体験の回避との関連」
学会大会3日間を通して、私自身の将来から目の前の研究のことまで見つめなおすことができる有意義な時間となりました。
また、歴史あるスポーツ心理学研究室の一員として、より一層研究活動や実践活動に励み精進していきたいと思います。
大学院博士前期課程2年 人羅美帆
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