研究一覧

タイムプレッシャーの強度と反応時間および正答率との関係 ―スタンバーグ課題からの検討―

  • 2022/09/02
  • 大久保 瞳・高井秀明
  • 日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

本研究では,TPの強度が反応時間と正答率に及ぼす影響についてスタンバーグ課題を用いて検討した.その結果,正答率では3文字条件は5文字,7文字条件より,5文字条件は7文字条件より有意に高かった.その一方で,反応時間では文字数による有意な差が認められず,作業記憶の負荷に影響がみられなかった.よって,実験参加者はTPに対応するため,文字数に応じた方略で課題を遂行していた可能性が示された.

アスリートにおける身体症状への意識が反芻に及ぼす影響-身体感覚増幅度を媒介変数とした検討ー

  • 2022/09/01
  • 堀 彩夏・高井秀明
  • 日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

本研究では、身体症状への意識が反芻に及ぼす影響への身体感覚増幅度の媒介効果について検討することを目的とする。本研究では、A大学学友会運動部に所属する375名(男性200名,女性175名,平均年齢19.93歳)を対象に調査を実施した。調査対象者には、Rumination-Reflection Questionnaire日本語版(高野・丹野,2008)の「反芻」、Body Awareness Scale(Fujino, 2012)の「身体症状への意識」、身体感覚増幅度尺度日本語版(中尾ほか,2001)に回答させた。分析は、従属変数を「反芻」、独立変数を「身体症状への意識」、媒介変数を「身体感覚増幅度」とする媒介分析を行った。分析の結果、「身体症状への意識」は「身体感覚増幅度」と「反芻」への有意な正の影響が認められ、「身体感覚増幅度」は「反芻」への有意な正の影響が認められた。また、「身体症状への意識」と「反芻」に「身体感覚増幅度」の有意な間接効果が認められた。不快な感情に伴う身体感覚の自覚への意識が高い人は、本来自動化されている感情的・身体的反応の処理過程を意識化しており、より認知的な資源やエネルギーを要する(小田,2012)。したがって,自覚されている身体症状は、支障ある物として意識化され、反芻を増強している可能性がある。以上のことから、アスリートの反芻を減弱させる介入には、身体症状への意識を減少させるだけではなく、身体感覚増幅度も減少させる必要がある。

Virtual Reality環境下におけるサッカー選手の状況判断能力と視覚探索方略との関連

  • 2023/04/28
  • 浦佑大・高井秀明
  • 日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

本研究ではVR環境下におけるサッカー選手の状況判断能力と視覚探索方略との関連を明らかにすることとした。その結果,経験群は未経験群よりも反応時間が有意に速い傾向があり,高い効果量が示された(p <.10, r=.51).サッカー経験者は特徴的な視覚探索により,素早い反応を実現していたものと推察される.

サッカー審判員におけるVRトレーニングの有用性の検討

  • 2021/09/01
  • 坂部崇政、高井秀明
  • 日本体育・スポーツ・健康学会 第72回大会

本研究では,VRを用いてサッカー審判員の判定を分析し,VRトレーニングの有用性について検討することを目的とした。その結果,審判上級者は審判初級者よりも,2対2および3対3場面での判定精度が有意に高いことが示され,サッカー審判員においてVRの活用は状況判断能力を高める有用な手段であることが示唆された。

タイムプレッシャーの強度と反応時間および正答率との関係 ―タスクスイッチング課題からの検討―

  • 2022/10/02
  • 大久保 瞳・高井秀明
  • 日本スポーツ心理学会第49回大会

本研究では,TPの強度が反応時間と正答率に及ぼす影響についてタスクスイッチング課題を用いて検討した.その結果,混合コストにおける反応時間では,大小課題はTPの強度が300 msで,奇偶数課題はTPの強度が300,400 msで,単一試行と反復試行の間に有意な差が認められなかった.また,切り替えコストにおける大小課題,奇偶数課題の切り替え試行は反復試行より反応時間が有意に長く,正答率が有意に低かった.以上のことから,混合コストと切り替えコストではTPの強度による影響が異なることが明らかとなった.

空手のフェイントにおける注意の捕捉―先行手がかり課題による検討―

  • 2022/10/01
  • 坂部崇政・高井秀明
  • 日本スポーツ心理学会 第49回大会

本研究では,空手選手を対象に,SOAを操作した先行刺激(フェイント)後の突き技に対する行動測度から,空手における効果的なフェイントについて検討することを目的とした。その結果,空手においてはフェイント動作後300 ms以内に攻撃に移ることで注意の捕捉を生じさせ,300 ms以降に技を出す場合には,復帰抑制を利用することでフェイントの効果を高めることが示唆された。

スポーツ版実行機能質問紙(Executive Functions Questionnaire for Sports: Sports- EFQ)の信頼性および妥当性の再検討

  • 2023/04/28
  • 浦佑大・高井秀明
  • 日本スポーツ心理学会第49回大会

本研究では,スポーツ版実行機能質問紙(Executive Functions Questionnaire for Sports: 以下,「Sports-EFQ」と略す)の信頼性と妥当性を再検討することとした.その結果,各下位尺度間で有意な相関関係が見受けられ,Sports-EFQの収束的妥当性が確認された(表2).以上の結果から,Sports-EFQは一定の信頼性と妥当性を有しているものと考えられる.

アスリートにおける身体への意識が反芻および省察に及ぼす影響―対処方略を媒介変数とした検討―

  • 2023/09/30
  • 堀 彩夏・高井秀明・齋藤雅英
  • 日本スポーツ心理学会第49回大会

本研究では身体への意識が認知面や行動面の対処行動を媒介して自己注目である反芻および省察に及ぼす影響について明らかにすることを目的とする.調査対象者はA大学体育専攻学生489名で,分析対象者は学友会運動部に所属する456名(男性265名,女性191名,平均年齢20.24±1.17歳)であった. 反芻および省察を測定する尺度として,Trapnell & Campbell(1999)が作成したRumination-Reflection Questionnaire(RRQ)の日本語版(高野・丹野,2008),身体意識を測定する尺度として,Fujino(2012)が作成したBody Awareness scale(BAS),対処方略を測定する尺度として,神村ほか(1995)が作成したTri-axial Coping Scale(TAC-24)を使用した.BASの身体症状とRRQの反芻との関係に対するTAC-24の各因子の影響について検討した結果,TAC-24のいずれの因子を媒介変数とした場合でも間接効果は認められなかった.BASの身体感覚への意識とRRQの省察との関係に対するTAC-24の各因子の影響について検討した結果,TAC-24の情報収集,肯定的解釈,計画立案において部分媒介が認められた.本研究の結果から,身体感覚への意識を高めるとともに問題に対して積極的かつ探索的な対処方略を習得させることが,省察を促進することにつながるものと考えられる.

アーチェリーの簡易脳波計による注意集中を高めるプログラムの検討

  • 2021/11/28
  • 高井秀明・岩崎宏次・戸松陽平
  • 日本スポーツ心理学会第48回大会

タイムプレッシャーが複雑な反応課題の遂行に及ぼす影響 ―事象関連電位による検討―

  • 2021/11/28
  • 大久保瞳・高井秀明
  • 日本スポーツ心理学会第48回大会

本研究では,タイムプレッシャー(TP)が複雑な反応課題の遂行に及ぼす影響ついてERPから検討することを目的とした.その結果,Non-Cross条件,Cross条件ともに,P3潜時,刺激同期LRP潜時,反応同期LRP潜時が有意に短縮した.よって,反応様式の複雑性に関わらず,TP条件では刺激評価段階,反応選択段階,反応実行段階において処理が短縮することが示された.